私が旅行に出かける理由(わけ)
今まで結構いい加減(?)に答えていた「旅行に出かける理由」をちと考えてみた。


「人はなぜ旅に出るのか」というのは永遠のテーマかもしれないし、一言では表現しきれないことかもしれない。仮にそうできたとしても、それを聞いて誰でもピンとくる回答って、たぶん出来ないのでは?なんて思うわけでして。

旅行に出かけることを告げた時、人によく聞かれることは「なぜそこへ行くのか?」と「なぜひとりで出かけるのか?」ということが多いです。まぁ、いろいろな言い方・聞き方がありますけれど、基本的に聞き出そうとする内容(主旨)は同じかなと。

私の回答としては質問内容によるのだけれど、たいていは表面的な当たり障りのない答えを返している。例えば「なぜイランを旅行するの?」と聞かれれば、「いやー、前からイランという国がとても気になってたんだよね~」とか、「ひとりで海外旅行? 現地でオンナが待っているとか?」と冗談混じりに問われれば、「あ、そーゆーことがあったらいいですね~」と、まぁ、そんな感じ(笑)。


旅行に出かける本当の理由は何だろう?

旅先で異性が待っているというのは願望だけど(笑)、「前から行ってみたかった」という回答は決して間違っているわけじゃない。そこへ出かける理由の1つになっている。でもそれは本当に表面的なこと。旅行に出かけるための材料と言っていい。口実だったり、そこへ行くための決定事項になったりするわけだ。

旅行が好きな人たちのよく言う言葉で、「旅行する場所はどこだっていい」というのがある。そう、たぶん、人が旅行に出かける本質的な動機とか理由って、ここにあるのだと思う。ひとりでもふたりでも、あるいはグループとか団体でも、その個人の趣味・嗜好により派生はするけれど、その根源は同じような気がするのです。

表面的な理由を取っ払い、深層にあるであろう理由とは一体何なのでしょう?

同じ旅行者同士であるならば、ただ「そこへ行ってみたい」、と言うだけで話が通じるし、そもそも旅行に出る理由なんて、いちいち説明する必要もないんですけどね(笑)。


旅行に求めるものは「体験」と「変化」

未知の風景、異文化への興味、人との出会い、非日常への欲求など、さまざまな言葉が思い浮かぶ。人が旅行に求めているものは、きっと新しい体験なんじゃないだろうか。それは自身に内なる変化を求めている、ってことなのかもしれない。自分の中を豊かにしたい、という表れの1つが旅行に出かけるということなのか。

もしそうだとするならば、「自分の中を豊かにする」というのはどういうことだろう? 直感的ではありますけれど、このことが今でも旅行に出かけ続ける大きな理由のような気がしてなりません。

ところで、私が旅行に出かけると、楽しいことばかりではありません。日常では味わえない緊張感に包まれることは多々ありますし、時には厳しい現実に打ちのめされてしまうことも。正直、こんな刺激が欲しくて旅行に出ているわけじゃないけれど(苦笑)、普段とは違った環境での出会いは、自分自身を見つめ直す新たな機会を与えてくれるのは確かです。

また、特に「楽しい」とか「うれしい」、「美味しい」、「美しい」、あるいは「寂しい」などの感情を伴っている場合、より自分の中を豊かにできることって、実は誰でも知っている。知識として知ること(知っていること)に現実の感情がプラスされると、知識面だけでなく精神面の成長も期待できる(はず)。私はそこに旅行の価値を見出しているのかなぁ。なんてね。まぁ、旅行の価値を決めているのは、旅行者自身の気持ちと、心構えだったりするのだけれど(笑)。


旅先でもらうエネルギー

旅行の経験が人を元気にさせる話ってよく聞きます。帰って来てから少し自分に自信がついて、いろいろなことに率先して関われるようになったり、ちょっとやそっとのことではメゲなくなったり。私自身にも経験があることなので、これってよくわかります。

パワーをもらう対象は、人であるとか、聖地と呼ばれる場所、自然や動物、景色や風景、絵や写真などいろいろ。そこに何かを感じるかどうかは、その人の感性によるところが大きいと思うのですが、旅行に出るという行為はそれを享受するために、まさに「旅」に出る、ということなのでしょうね。

私なんかそうですが、「エネルギー切れを起こしそうなので、そろそろどこかへ出かけようかなぁ…」なんていう人、結構多いんじゃないでしょうか(笑)。


旅行者は「何か」を期待して旅に出る

美しい風景や美味しいもの、温泉などのリラクゼーションにショッピングなど、旅行者は人それぞれに「期待」を抱いて旅に出る。それは「傷心旅行」とか「自分探しの旅」であっても変わらない。明確な目的がなくても「期待」さえ持てればいい。「何か」を期待することさえ出来れば出発できるものなんだな。>旅行ってヤツは

私が旅行で期待するものの中に、「人との出会い」があります。誤解を恐れずに大げさ(?)に言えば、それはズバリ「運命の人」。その人を知ったこと(関わったこと)で、自分がどう変わったとか、ずっと後になって考えてみると、その人がいなかったら、今の自分はなかったろうなぁ……と思える人とか。そんな人と旅行の中でも出会ってみたいものですね。(←あんまり意識はしてないけれど)


でも、もしかしたら、実はもっとシンプルな理由かもしれない

10代とか20代のように、熱く「ここに絶対行きたいっ!」と思う場所もなく、「旅行する場所はどこだっていい」という感覚にいつの間にかなっていたアラフォー(もうすぐ40歳)の私。自分が旅行に出かけ続ける理由を、ちとばかり考えてみたけれど、ハッキリとした納得できる回答にたどり着けず、まだしばらくは「いや~、前から行ってみたかったんだよね~」というような表面的な回答でごまかしそう。

でも案外(というかやっぱり)、そういうシンプルな欲求が理由のコアなのかなーとも思ったり。「自分の中を豊かにしたい」とかいうのは、子どものような欲求を恥ずかしくて素直に語らない(語れない)、稚拙な大人の言い訳みたいなものなのかもね(苦笑)。

<2010年10月27日掲載>