旅行と海外通販の共通点
誘惑体験がどちらも多いと感じる今日この頃?


私、精神が未熟なので、すべてにおいて、誘惑にかられることが多いんです(笑)。しかも、かなりの優柔不断野郎で小心者、あのときこうすればよかったとか、後の祭りになることは多々あるんだな。そんなことが日々あるおかげで、普段から無関心・無感動を装ったりしてね。そんな私の旅には、もちろん誘惑がいっぱい。旅に出る前からも、実は誘惑がいっぱいだったりして~(笑)。

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秋に、木曽路の上松(あげまつ)を歩いていたときのこと。電車の出発時刻ギリギリまで観光した帰り道、ふと興味をそそるものが目に飛び込んできました。私が向かう駅方向の右手側にある登り坂の上に、石造りであろう小さな鳥居が見えました。神社があるのかな?と、その方向をよく見てみると、その先は小学校らしい看板が。鳥居が校門の小学校?鳥居の両脇には緑色の金網フェンスも見える。坂の下にいる私は坂の上にある建物が一切見えず、どんな小学校なんだろうとグッときたのです。上松というところは古くから木材の集積地として栄えた町。昔懐かしい木造校舎なのかなぁ? 頭の中で子どもたちが元気に校庭を駆けずりまわっている絵なども勝手に想像してしまう。そうなると、どうしても確かめたくなっちゃうのですよねぇ。

でも、このときの私は時間に追われる旅でした。いつもなら予定をガッチリ組むことはなく目的もアバウト。突然の寄り道は大好きなんだけど、電車の時刻表をにらみながら、時間が許す限りで行けそうなところは見て周ろうと思いまして。その結果、電車の時刻表に左右される強行スケジュールとなり、まったく余裕のない旅になってしまいました。もう、グッとこらえてそこに心を残してその場を去りましたよ。鳥居が校門の小学校、見たかったなぁ。

……とまあ、興味を感じない人にとっては、ほんの1コマで終わってしまうようなことですが、私はいつかまたここを訪れて、この目で確かめてみたいと思いましたね。このような出来事が、次の旅行の意欲をそそるのですな、きっと(笑)。

ところで、短い時間でいろいろ見て周わるような旅行は一見すると「お得」な気もするのですが、どうも通り過ぎただけというような気分の方が大きくて、私にとっては物足りない感じでした。予定通り時間いっぱいに観光はできたのだけど、なんだかな~と思えちゃったのです。この原因はなんだろう?と考えたとき、すぐに思い浮かんだのは、先に書いた校門が鳥居の小学校の出来事だったのです。

旅行誌のインタビュー記事に、旅は計画を立てるまでが面白い、目的地に着くまでが楽しい、なんてことが書いてあった。ふむふむ、確かにそうかもしれない。実はこれを書いている今、次の台湾旅行のパンフレットを眺めたり、航空券を物色したり。飛行機がダメなら船で……とか、いろいろ考えているのだけど、あれがいいなぁとか、ここも行きたいとか、想像が大きく膨らんでしまい、どんどん欲が出てしまってなかなか決まらない。自分の中で「これしかないっ!」と決定づける材料が少ないから、選択肢が多くて迷ってしまっているのだな。そうなると、もう自分以外に頼ってしまったり(笑)。たとえば「このお店のおすすめメニューは?」って感じでね。

私は行儀が決してよい方ではないので、旅先ではよく買い食いをやってしまう。加えて「衝動買い」もしてしまう性質なのだ。欲望の赴くまま、あまり考えずに行動してしまうことが多いので、あとになって「どうして買っちゃったんだろう?」みたいなことが多々あるし、「別にここで食べなくてもなぁ」なんていつも思いながらも「まあ、いいか」で済ませてしまう。ちょっと刺激されちゃうとフットワークがすぐ軽くなり、なんでものぞき見てしまいたくなる。そういえば、海外通販に一時期ハマッたこともありましたっけ。

季節の節目になるころ、私のところには海外通販のカタログが届きます。中身を見ると日本の通販とは相当違う。押し入れ収納ケースとか載ってない(笑)。例えば豪華なワイングラスとか、思わず笑ってしまったソリつきパンツとか、唖然としてしまったヒョウ柄のバスローブ(←大阪のオバちゃんかっ!)とかで、つまり、私の周りにある生活臭さが全然感じられない。それはまるで夢のカタログ、そりゃー新鮮でビックリだったのだ! でも、日本で使えるかどうかはよくチェック。みなさん知っていると思うけど、シャツ1枚にしてもサイズが日本と違ったりするわけだ。旅先の誘惑って、これに似ているような気がしませんか?

でも、私が海外通販ハマッてしまったというのは、そもそも実利的なことじゃなかったような気がする。衝動買いの誘惑に負けなくても、なんだか見てるだけで楽しいもん。違った世界をのぞき見したようなそんな感じ。夢のある出来事のひとつとして、ぜひ誘惑体験してみることをおすすめしちゃうな。でも、くれぐれも悪いこと(?)にならないように気をつけなくちゃいけないけど。

<2000年8月掲載>